「ダサいデザイン」が、あまりにもったいない理由。

投稿日:2026年9月7日 更新日:

ダサいデザイン」が、あまりにもったいない理由。

3LDKや4LDKのマンションをリノベーションする。

間取りを変え、床を張り替え、キッチンを交換し、壁や天井を整え、照明を選ぶ。

工事内容にもよりますが、これだけのリノベーションを行えば、決して小さくない金額がかかります。

だからこそ、私たちは一度考えてみてほしいと思っています。

同じようにお金をかけるのであれば、なぜ「普通の家」で終わらせる必要があるのでしょうか。

ダサくても、洗練されていても、お金はかかる

リノベーションには、デザイン以前に必要になる費用があります。

  • 解体工事
  • 電気工事
  • 給排水工事
  • 下地工事
  • 床・壁・天井の仕上げ
  • キッチンや浴室などの住宅設備

これらは、完成した空間がおしゃれでも、そうでなくても必要になるものです。

もちろん、使用する素材や設備、造作の内容やグレードによって金額は変わります。

しかし、ここで重要なのは、

「ダサい家なら、ほとんどお金がかからない」というわけではない

ということです。

数百万円、場合によっては1,000万円、2,000万円というお金をかけて、高級素材を使っても、その組み合わせ、色、照明、家具とのバランス、空間全体のプロポーションが整っていなければ、完成するのは「新しくなった、ダサい高級な家」です。

一方、同じように床があり、壁があり、キッチンがあり、照明がある空間でも、それらが一つの世界観として美しく設計されていれば、毎日目にする景色はまったく違うものになります。

要は、高級か高級でないかではなく、どうすれば美しく、心地よい空間になるかなのです。

どうせ大きなお金をかけるなら、洗練されている方がいい。

極めてシンプルな話です。

「好きな家」は、単なる自己満足ではない

そして、住まいのデザインは、単に「おしゃれか、ダサいか」という表面的な話だけではありません。

九州大学の有馬雄祐氏らは、「家が関連する主観的幸福」について研究しています。

2024年に日本建築学会環境系論文集に掲載された研究では、家に関連する幸福について、「家への満足」「家での感情」「家から得られるエウダイモニア」という3つの因子から捉えられることが示されています。

さらに、家から得られるエウダイモニアには、「美的経験」も構成要素として含まれています。

ちなみに、エウダイモニアとは、心身の健康や幸福度を指す言葉で、ウェルビーイングの指標として近年重要視されてきています。

2025年の研究では、関東地方の居住者2,000人のデータを用いて、こうした「家が関連する主観的幸福」を測定する尺度の信頼性・妥当性についても検証されています。

つまり、美しい空間や自分が好きだと思える住まいについて考えることは、単なる贅沢や見栄の問題ではありません。

自分が毎日を過ごす場所と、自分自身の幸福感との関係を考えることでもあるのです。

でも、本当は研究を読まなくても知っている

もっとも、こうした科学的な研究を知らなくても、多くの人はすでに感覚的に知っているのではないでしょうか。

  • 旅行先で素晴らしいホテルの部屋に入った瞬間
  • 美しいレストランで食事をしている時間
  • 好きな家具や照明に囲まれた空間で、静かにコーヒーを飲んでいるとき

「なんだか心地いい」

「ずっとここにいたい」

そんな感覚を経験したことがある人は少なくないでしょう。

逆に、雑然とした空間や、自分の感性とは合わない空間にいると、理由をうまく説明できなくても落ち着かないことがあります。

空間は、毎日目に入ります。

朝起きたとき。

仕事から帰ってきたとき。

家族と食事をするとき。

休日にソファで過ごすとき。

だからこそ、住まいのデザインは「最初に見たときだけ感動するもの」ではありません。

その空間から受け取る小さな心地良さを、何年、何十年と積み重ねていくものです。

では、施工会社は「このデザイン、ダサいですよ」と教えてくれるのか

ここには、リノベーション業界特有の難しさがあります。

一般的な施工会社の担当者が、あなたの選んだデザインを見て、

「その組み合わせは、正直あまり洗練されていません」

と教えてくれるでしょうか。

おそらく、多くの場合はそうではありません。

これは施工会社が悪いという話ではありません。

施工会社の重要な仕事は、予算や工期を管理し、安全に、正しく工事を完成させることです。

また、デザインには好みがあるため、お客様が選んだものを強く否定することも簡単ではありません。

「この床に、この壁紙で大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「このキッチンの色は合いますか?」

「問題ないと思います」

そうして一つひとつの選択は成立しているのに、完成して全体を見ると、

「別に変ではない。でも、なぜか格好よくない」

という家が生まれることがあります。

空間デザインで難しいのは、個々の商品を選ぶことではなく、空間全体を一つの世界観として成立させることだからです。

3LDK・4LDKだからこそ、デザインを妥協しない

3LDKや4LDKのマンションは、多くの家族にとって生活の中心になる場所です。

LDKだけではありません。

玄関を開け、廊下を通り、リビングへ入り、キッチンで料理をし、寝室へ向かう。

住まいは、それらすべてがつながった一つの体験です。

だからこそ、設備を新しくするだけではなく、

「この家で、どんな気分で暮らしたいのか」

まで考えてみてほしいのです。

  • ミニマルな空間が好きなのか
  • ホテルのような緊張感と静けさが好きなのか
  • 素材の陰影を楽しむ、落ち着いた空間が好きなのか

大切なのは、流行っているデザインを選ぶことではありません。

自分が本当に好きだと思える世界観を見つけ、それを住まい全体で実現することです。

リノベーションには、大きなお金がかかります。

そして完成した住まいでは、その後、何年も暮らしていきます。

ダサくても、お金はかかる。

洗練された空間をつくっても、お金はかかる。

それならば、毎日帰りたくなる家に、お金を使った方がいい。

3LDK、4LDKという大切な住まいをリノベーションするのであれば、「新しくなった」だけで終わらせるのは、あまりにもったいないのではないでしょうか。


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